………話す事などない


『僕の名前はセティ。君の名前は?』


…………


『まぁ良いや、今日はさー…って何処行くの?』


…くだらん。


『しょうがないなぁ、またね!』






小さな小部屋の窓からそう手を振った。
自分の事を知らないのだろうかと思った。

それを言えば声をかけてはこないだろうと思った。







『知ってるよ?』


そう言って彼は微笑んだ。

『僕はね、君に触れても平気なんだ』


そう言ってバイアスの頬に触れた。
その手は柔らかくて、温かかった。


『僕はね?半永久的寿命を持つ異人類種なんだ』


セティは"命水(ミョウスイ)"だった。


『君の友達になるには、適任だと思うんだ』


セティもまた、その変わらない容姿を気味悪がられ孤独だった。
その日から二人は一緒にいることが多くなった。



『僕の友達を紹介したいんだ!』



二人で抜け道を通り森へ行った。






『ホウ、君は"吸血鬼"だね?』



人面の気味悪い梟が可笑しそうに言った。


『人間風情が調子に乗りおって!』



憤慨した黒豹がかかってきた。




『ホッホ、良い良い』

『クロスメイアスが黒猫みたいな扱いだ』



タノシイ、と、初めて思った。