一喝され、思わず老梟を見る。


「あなたはまだ生きねばならない」


穏やかに、しかしきっぱりと告げる彼に、迷子のような王は唇を噛み締める。



「ライアは…異人類種だったのか……?」



信じられないと言うような呟きにメイスフォールは目を細める。





「私の記憶が確かならば、おそらくライアは"堕天使"と言う名の異人類種でしょう」

「"堕天使"……?」

「伝説とまで言われた古い異人類種です」




…―"白き羽持つ天使、紅き野に堕つる。やがて翼染まりて、堕天使となる"―…




「"堕天使"は、その都度母を知らぬ子供。
成長を見る事の出来ない母の執着心が形を成したものだと言われております」



「あれが…母親だと言うのか……?」





呆然と、離れたところからも見える紅い双翼を見る。




「母親の愛とはあのようなものなのか…!?」



やる瀬ない想いを隠せないグラジオラスの様子に、メイスフォールは静かに目を閉じた。






.