「ナンバー00の元に拘束されていた民間人を保護いたしました!ぐぁっ!!?」



国王の前にひざまづいた憲兵の背に深々と長い羽根が突き刺さる。




「ナンバー00だ!」

「捕獲態勢よぉい!!」

「羽特隊は何してる!?」




あちこちで声が飛び交う。

確かに妙だ、と国王は怪訝そうに眉根を寄せた。
羽特隊こと羽付き特殊部隊は今回の為に結成させた羽付きだけの部隊なのだが、全滅したのだろうか?



陣のただ中に降り立った琥珀色の羽付きは顔色一つ変えず銃火器と応戦している。






なんだ、本物の化け物じゃないか。








国王はむなしい可笑しさに一人笑っていた。


"アレ"は、最愛の妻を惨たらしく殺し、計らずも自らの血の繋がった姉までも平気で殺した悪魔なのだ。



「ふっ…」


ドッ




自嘲を浮かべたその瞬間、琥珀色の羽根が鎧を突き抜け肩にしっかりと突き刺さり、国王は崩れ落ちるように落馬した。


気が付けば動ける者は誰もいない。
血溜まりの中からは痛々しい呻き声だけがあがっていた。



異端の羽付き、ナンバー00はゆっくりと国王の前まで来て立ち止まる。

そこには、微かに最愛の妻の面影が見えて、複雑な想いで国王は目の前にいる羽付きを見上げた。





.