「火だ!!」

「「火事だ!!」」

「「たくさんの羽付きだ!!」」

「なんなんだいこの数は!?
キリがないよ!!」





高い木の上からアキ達が叫ぶ。

下では何人もの羽付きをクロスメイアスが薙ぎ払っている。




「リン!!リン!!何処にいる!!!?」


地を震わすような声が辺りに轟く。



「全く石帝は完全に頭に血が上ってるねェ」


クロスメイアスのような戦闘力を持たないアナイトセタはこうして様子を見ながら相手の隙を突くしかない。

城の羽付き達はウイルスのようにじわじわと森を攻めている。
いつぞやの昔似たような事があったと先代のアナイトセタに聞かされたのはいつの事だったか。






「荒れているな。クロネコ」

「その名で呼ぶな。コウモリ」



気配なく現れたバイアスにクロスメイアスが苛々と返す。

美しい吸血鬼は馬鹿にしたように笑う。


「どうせあの"異端"を探してるんだろう」




肯定を意味する沈黙にバイアスはふん、とつまらなそうに鼻をならした。






「岩窟だ。
ここから1番近くの」





声同様のつまらなそうな動きで羽付きの一人を引き寄せその首筋に牙を立てる。

この気位の高い吸血鬼が何を思って教えたのかはわからなかったがクロスメイアスは一度深く頭を下げ素早くその場を走り去った。