シャ…ン




何と言うタイミングか。

しかしこれは偶然ではなく、必然であった。

シャンッ…シャン

音はドゥノーシス達が消えた方とは真反対の方角、リンの背後の彼方から聞こえた。

その姿を見るなり、アキが息をつく。

｢目ざといね。クルテッド｣

シャランッ

｢目ざといかね？はてそうだろうか？偶然偶然｣

そう言って笑うのは黄ばんだぼろきれをその身に纏うハリネズミだった。


遠方からでも聞こえたのはその後ろ脚に付けた糸に通された小さな貝殻達だった。
２本の後ろ脚でのたのたと歩いてくるとぺたぺたとリンの頭部を触り始めた。


｢ふむぅ…夢喰いにちょっかいを出されたようだねぇ。ヒトの見る悪夢は夢喰いにとっては御馳走だからねぇ｣

そう言いながら背中の針を４本引き抜く。
そして２本ずつリンの両手に刺した。