ようやく目を覚ましたその額には脂汗がびっしょりと浮かんでいる。
そしてやっと開かれたその瞳はアキ達が今までに見た事もない程に揺らいでいた。

「大丈夫かい?嫌な夢を見ただろう」
「なんで…それを…」

その口から漏れた声の弱々しさに、何がそこまでこの人間を追い詰めたのか、アキの中で一抹の怒りが込み上げる。

「あいつらさ」

起き上がったリンの目がバクとトカゲをとらえる。
バクはリンを見るとその膨れた腹を軽く叩き、トカゲはさらにいらだたしく目を光らせた。

「夢喰いのドゥノーシスと皮喰いのカラッシア。ドゥノーシスは知能のより高い生き物の生きる気力を喰う。その弱った獲物を皮から喰うのがカラッシアってわけさ」
「じゃあ…あの夢の中の声は…」
「ドゥノーシスの声だろうよ。あいつは夢の中でだけおしゃべりなんだ。むかつく奴らさ」

獲物にありつく事の出来なかったカラッシアは殺気立ってはいるものの、それを牽制するクロスメイアスの怒気に圧され、じりじりと退路をとっていた。