☆葵☆

どこなの!?ここは…!?
本当にこの人について行って大丈夫なのかなぁ…??
とてつもなく不安だよう…うぅ…

さっきから、全然会話がないけど、
わたしにはそんなの気にしてる
余裕がなかった…すると。

そんな空気を悟ったのか、
「名前なんてゆーの?」って話しかけられた。

そ、そういえば言ってなかった…かも…。
でも、こんな不良くん(仮)に名前教えちゃっていいの…?
目、つけられたら嫌だなぁ…

けれど、答えないわけにはいかないので…
「あ、葵です。高田…葵… で す …。」
と、一応答えた…。

すると、
「じゃあ葵ちゃんで。」…と。なれなれしく返された。
いきなり「葵ちゃん」…?
ちょっとの不快感と嫌悪感を覚える…
自分でも分かってしまうくらい、顔が強ばった。

もしかしたら、この人………

不良じゃなくて…ただの「チャラ男」…??

その瞬間から、この人は、わたしの中で
「不良くん」→「チャラ男」と、その名を変えた…
…はずだった…

わたしは最初からこの人の名前なんて
聞くつもりはなかった。興味もなかった。
なのに…
「あ、俺の名前は颯斗だから。」

「はぁ…そうです か…。」
(聞いてませんよ…?)

結局、1度も「チャラ男」の名は
日の目を見ることなく終わってしまったのだった。