☆葵☆

もともとは、私が悪かったの…
ちゃんと道を調べておかないから、こんなところに辿り着いたの…

…でも…びっくりしたんだってば!
迷子だと思って焦ってたら、いきなり
「君、1年?」なんて声掛けられて。
しかもその人が同じ学校だって気づくのに、すご~く時間かかっちゃって…。
だって、あんまりにもすごい着崩し方で、
とても同じ制服には見えなかったから…
ホンキで不審者かと思ってひどい顔しちゃった…
もう、穴があったら入りたい…いや、むしろ、
自分で穴を掘って埋まってしまいたいくらい…。

なんて考えて私が顔を赤くしたり青くしたりしてるのに、
目の前にいる不良くん(仮)は平然としてるし~っ!

すると、
「ねぇ、聞いてる?」って言われてしまった…
初対面でシカトって…!私、すごく感じ悪いっ

「あ、ごめんなさい!急にで驚いちゃって。」
あたふたしてそう言うと、不良くん(仮)は笑って
「あ、良かった。シカトされたかと思った!」と言った。

うぅ…やっぱり…?シカトとかサイテーだぁ…
私のそんな思いを余所に、不良くん(仮)は

「いつもこんなトコ通って学校行ってんの?」と、聞いてきた。

……ガッコウ…がっこう…学校… …学校!!?
あぁぁぁぁあぁぁああぁぁ!!忘れてた!私、遅刻の危機だったんだ!
はわぁっ!?どうしよぅ!?我を忘れて焦る私が出した、ベストアンサーは…


…この人に…聞く…?   …っもう!それしかない!

「いえ。違うんですけど…
あっ、あの…学校‥の、近道とか…って…ご存じです…か…?」
相手が不良くん(仮)なだけに、声が震える。すると、

「あはっ。めちゃ敬語!おもしれー!
俺、ちょうど近道つかって行くとこだし、一緒にくれば?」

…ほっ。意外と優しいんだな。最近の不良って…。
私はおとなしくこの不良くん(仮)について行くことにした。