結局、今日一日、チラチラと気になって桜田くんを見てしまうくせに

距離が近くなれば逃げ出したくなって逃げるの繰り返しだった。


(絶対へんに思われてるよね……)


だからと言って、この状況を打破する術を、私は知らない。



「はあ…、」



なんだか考えるのが嫌になって重いため息がこぼれる。

そうして、放課後の帰宅ラッシュを過ぎて少し静まった廊下を歩きながら、俯かせていた顔を上げたとき。



「―――えっ」



腕をグイとひかれて


どこかに引っ張り込まれた。


埃っぽい教室

積まれた大量の紙、本…


(…資料室?)


ふと頭に浮かべる私の視界に続いて映り込んできたのは、



「さっ…!」



無表情の桜田くん、だった。