あの悪夢の日――――。


『やめて』

白い首筋から赤い血を流しながら、ミコトは必死で俺の腕を掴んだ。

『もうやめて! お願い蓮くん!』


殴られてついた頬のアザ。

転んで擦りむいた膝の傷。

乱れた制服。

ボタンのとんだシャツ。

伝い落ちる血液が、あらわになった胸元へと流れて落ちて―――。


気が狂いそうで、

何度も殴り付けたあいつのぐったりとした首を、再び掴みあげた。

振り下ろしかけた拳に、ミコトが飛び付く。

『お願い。蓮くん。怖いよ。……怖いよ』

がたがたと震え出したミコトに、はっとして手をとめた。