「彼女、男性恐怖症なんだ?」

ぴくりと頬が震える。

顔に出た動揺を知られたくなくて、俺は時田から顔をそらした。

そのわずかな変化に目敏く気付いたらしい。

時田は面白そうに俺を見て、目を細めた。

「浅倉っちが、やたらと佐和ちゃん目当てな野郎どもを牽制してるから、単なる嫉妬かと思ってたけど……なるほどねー」


必要以上に向けられたミコトへの興味に、苛立ちが増す。

「…お前には関係ないだろ」

吐き捨てるように言うと、時田は両手をスラックスのポケットに突っ込み、肩を竦めた。

「えー俺、佐和ちゃん超タイプなんだけど」

どこまでが本気かわからない真剣味のない口調でそういうと、俺に近づいて肩に手を置いた。