窓から射す、オレンジ色の光が白いカーテンを染めている。

「帰ろう」

蓮くんは胸ポケットから、眼鏡を取り出してかけると、出口へ歩いて来て、ぽんとわたしの頭に手を置いた。

レンズを一枚挟んだ優しい微笑み。

それが、わたしたちの間の見えない壁を象徴してる気がして、手を伸ばした。

「ミコ?」

眼鏡を抜き取る。

戸惑ったような蓮くんの顔に、少し意地悪な気持ちになった。


爪先立ち、首へと腕を回す。

「……ミ……!」