「ミコ?」

蓮くんが不思議そうに首を傾げる。

「なにか怒ってる?」

「……怒ってないよ」

目を合わせず答えた。


怒る権利も

責める権利もないけど。

嘘はつかれたから。

せめてそのくらいの小さな抵抗は許される気がした。


「……暗くなって来たね」

わたしのわだかまりに

気付いたのか気付いていないのか。

蓮くんは窓の外に目を向け、話題を変えた。