部屋の中から、壁を打つような小さい物音が聞こえた。

……ソコニイルノハ、ダレ?

怖いのに、確かめたくて手を伸ばした。

ノブを回す手が微かに震える。

そっと引いたつもりだったのに、思ったより大きな音がした。

薄暗い部屋。

椅子に座って俯く人影が、ドアの音に反応して、顔をあげる。

「………」

ドキンと心臓が跳びはねた。

研ぎ澄まされた刃物みたいな目にわたしは捕らえられた。

どうしてだろう?

その瞳からは

怖さより、艶かしさを感じた。