「例え、報われなくても。
佐和さんに俺の気持ちくらいは知ってて欲しかったんだ。
じゃないと、いくら俺が佐和さんを思って眠れない夜を過ごしても、単なる睡眠不足で終わっちゃうじゃん。
そんなの俺が可哀相」

冗談ぽく顔をしかめる藤平くんに、わたしは頬を緩めた。

「…うん。そうだね」

確かに。

「好き」だと伝えなければ、気持ちにも痛みにも気付いて貰えるわけがない。

わたしは、ずっと蓮くんに求めるばかりで。

試して伺うばかりで。

自分から決定的な答えを出すのを恐れていた。



そんなんじゃ、

なにも変えられるはずがなくて当然だったのに。



「ごめんなさい…でも、ありがとう」