「佐和さんが好きなんだ!」

叫ぶように言った彼を呆然と見つめた。


一瞬


鳴海先生と藤平くんが重なる。


『なんで、付き合ってくれないの?好きだって言ってるのに』



鳴海先生の声が耳の奥でこだまする。

「……い、や」

青ざめて、後ずさるわたしに、藤平くんは慌てて、両手を突き出した。

「違うっ!待って!
そうじゃなくて!!
いや、好きなのは本当だけど、でも困らせるつもりじゃなくて!
あーもーなにやってんだ俺っ!!」

頭を抱えて座り込み、彼は溜息をついた。

「ごめん。別に、佐和さんに何かを望んでるわけじゃないんだ。
ただ俺、思ったこと直ぐ口にしちゃうって言うか。
嘘付けないって言うか。
いや、迷惑だってわかってるから忘れて?
………って、今更だよね」

罰が悪そうな顔で立ち上がり、彼はわたしを見た。