「……佐和さんてさ」

藤平くんの声に顔を上げる。

彼は石を蹴りながら口を開いた。

「特進クラスの時田くんと付き合ってるの?」

「………え?」

聞き返すと彼は一瞬わたしを見て、

「な、なんかそんな噂聞いたからさ」

直ぐに顔を反らし、頬を赤らめて頭をかいた。

「え?あ、の」

「いや、そーなら別にいいんだけどっ。
でも、時田くんてあんまりいい噂聞かないしっ。
騙されてないかなーっとか心配っていうか。
いや、俺が心配することじゃないんだけど。
ってなに言ってんだ、俺」

首まで真っ赤になって早足で歩きだす。

わたしは慌てて藤平くんを追いかけた。

「え、あ、の。時田くんはそんなんじゃ……」

言いかけた時、

「俺っ」

藤平くんが不意に立ち止まった。

危うくぶつかりそうになって、縺れる足で後に下がる。