「本当にあるわけないと思ってんの?」

時田は余裕の表情でそう言うと、人差し指を立てた。

「1時間」

「は?」

「さっきの電話から1時間以内に浅倉っちが帰ってこなければ、佐和ちゃんは俺と付き合うって約束したんだよん」

「何を……」
 
「タイムアウトだよ。浅倉っち」

時田はニヤリと笑い、歩み寄って俺の肩を叩いた。

「もう佐和ちゃんは俺のものだから。
後のことは俺に任せてよ」

「ふざけるなっ」

時田の手を振り払い、睨みあげる。

「何て言ってミコトを唆したかはしらないけど、お前みたいな節操のない奴にミコトは任せられるかっ」

怒鳴り付けると、時田は俯いて、溜息をついた。