「……そう、かな?」

思わず、顔を抑える。

確かにわたしはあの日以来いつも、どこかびくびくしていた。

男の人は拒絶反応が出て近づけなかったし、女の子にも完全には打ち解けることができなかった。

人が、怖かったから。

中学の時、どこから漏れたのか鳴海先生から受けた暴行はすぐに学校中の噂になった。

廊下を歩くたび、ちらちら振り返りながら、囁きを繰り返されて、わたしはどんどん人間不振に陥っていった。

仲の良かった子とも疎遠になり、いつの間にか蓮くんだけに依存していって――

「浅倉っちのやり方は間違ってると思うんだよね」

「……え?」

不意をつかれて顔をあげる。

時田くんは組んだ膝に頬杖をついて窓の外を眺めていたが、ゆっくりとわたしに向き直った。