とんっと、水滴の付いた、キャラメルフラペチーノをわたしの前に置き、時田くんは向かいの席に、斜め掛けして座った。

なるべく身体を離すような座り方を選んでくれたのだとすぐに気づき、わたしは申し訳なさに目線を下げた。

なんだか気を使わせてばかりだ。

「ありが、とう」

「どういたしまして」

時田くんは、にこっと笑い、湯気の立っているトールサイズのコーヒーに口を付けた。

一口飲んで、

「アッ、ツっ」

すぐに眉をしかめ、舌を出す。

「猫舌なの?」

つい込み上げた笑いを堪えながら聞くと、彼は目を細めて、わたしを見た。

「その方がいいよ」

「……え?」

「笑ってる方が数倍かわいい」

さらりと言われて、顔が熱くなる。

時田くんは言い慣れているのか、照れた様子もなく続けた。

「佐和ちゃんはいつも泣きそうな顔してるからさ。見てるとこっちが辛くなるよ。
もっと楽にしたらいいのにって、ずっと思ってたんだ」