びくんっと身体が縮こまる。

自然に呼吸が速くなった。

怖い

怖い

怖い

助けて、蓮く―――

「佐和ちゃん!」

時田くんが走り寄って来る。

男の人はいつの間にか立ち去っていた。

「ごめん。ちょっと考え事してた! なんかあった?」

「……ん。大丈夫」

「でも、顔、蒼いよ?」

時田くんが心配そうにわたしを覗き込む。

わたしは俯いたまま、口元にハンカチをあてた。

「ちょっとだけ、人酔いしたみたい………わたしやっぱり、帰………」

「ああ、そっか気付かなくてごめんね。
人込みとか苦手だよね」

時田くんはわたしの言葉を遮るようにそう言うと近くのコーヒーショップを指差した。

「ちょっと休も?お詫びに驕るからさ」