『ごめんね。お姉ちゃん。守ってあげれなくてごめんね』

私に縋り付きながら、一樹はいつも綺麗な涙を流した。

一樹は知らない。

私の醜さを。

私の浅ましさを。

貴方を憎んで

侵した罪を。

『いいの。一樹がいてくれれば平気だよ』

そう答える間も、心の中で貴方を疎ましく感じていることさえ。

それでも、私のために純粋に泣いてくれる一樹に、胸が締め付けられた。


私は


一樹を嫌いながらも

一樹を愛していた。


でもそれは

姉弟としての感情でしかなかった。