( 父はグループ会社の後継者として僕を選ぶだろう。

母は父からお金を受け取る手段として姉さんを選ぶに違いない。

だとしたら、誰が姉さんを守ってやれる? )


そのころの俺は

ようやく身長も伸びて、母を威圧するだけの力は付いていた。

そのせいか、母の虐待は影をひそめていた。

でも

( 僕がいなければ、

姉さんはまたきっと、傷つけられてしまう。

守れるのは僕だけなのに )

真由も一緒に時田で暮らせるように、何度も父に掛け合った。

けれど忙しさを理由に話は受け流された。


結局俺達は引き離され、広い子供部屋に、俺は一人取り残された。