河原まで来ると
女の人がようやく口を開き、
「あの…さっきはありがとう
ございました…」
と震える声で言う。
おびえているのか…
さっきまでは暗くて顔もみえなかった
路地裏だったが、今ではよく見える。
整った顔、奇麗な髪質、
セミロングのカールのかかった
明るい茶色の髪。
目が泳ぐ。
へぇ…これが可愛い という感情かぁ。
それとともに
惚れたという感情も学んだ。
「あ、!!かばんがない!!」
と大声を張り上げた。
「どーぞ♪これですよね?」
と差し出したかばんは、
この人がさっき落して行った
ものだった。
「あ、ありがとうございます!!
本当に感謝です」
とぺこりとお辞儀をして
ニコッと笑った。
どきッ
普通なら、略奪王にかばんを
渡されたなら中を確認するはず。
なのに、この人はお礼を言った。
始めてみたよこんな人。