城の前に馬車を停め、バース達は降りた。
「本当に城があるんだな…」
少し呆れた様子でバースは城を見上げた。ただの街に王女などとふざけていると思っていたが、街の人間は本気らしい。しかも、こんな街の真ん中に。
「あ、王女様だ!」
突然通りすがりの住人がこちらを見ながら叫んだ。王女様?
「どこにいるの?王女様」
ヘウ"ンもバースと同じように辺りをキョロキョロとする。だが周りにはそれらしい者はいない。
「もしかして私の事?」
ふざけた事を言うジュリアは無視し、しばらく住人の動向を伺った。
すると、一人の少女が手に、一輪の名も分からない花を持って駆け寄って来る。
「どうぞ、王女様」
差し出されたのはヘウ"ンだった。