馬車に揺られながらバースは街を観察した。
街はセイカと同じ位とまではいかないが、それなりに大きかった。
観光客が多いのか、色んな店があちこちにある。緑が多く環境も良さそうで、住みやすそうな街だ。一言で言うならいい街。
すると、列車の時と同じテンションでヘウ"ンが歓声を上げる。
「綺麗な街ー」
「ありがとうございます。この街は本当に住みやすい街ですよ」
自分の街を褒められた男は機嫌良さそうに口を開いた。
「治安も安泰してますし、何でも揃っていますから物に困る事はありません。何より王や王女様がこの街を愛していますから、住民も安心して暮らせるのです」
「へー」
感動したのかしらないが、ヘウ"ンが感嘆のため息を吐く。
だがその王女様は何者かに狙われてるけどな。
こっそりとバースは胸中で呟いた。
「あ、見えてきましたよ」
男の指差す先には白亜の城が建っていた。