突然叫んだヘウ"ンに、バースはびっくりしている。あの時と同じ顔。メインストリートでひっぱたかれた時と。
「私は貴方の努力を無断にした。五年間辛かったはずなのに」
ヘウ"ンはその場にドサッと座り込んだ。立っているのもしんどい。
それでもバースは怒らなかった。
「別に辛くなかったよ。努力なんてしてないし」
私の事を気遣ってくれているのか、それとも強がりか。でもバースは本当だよって言った。
こちらに近付いて来るバースにヘウ"ンは口を開いた。
「どうして?人と話す事も自由になる事も世界を見る事も出来ないのに」
ヘウ"ンの前にしゃがみ込み、ヘウ"ンの頬に張り付いた涙を指で拭き取ってくれた。
「確かに自由はなかったよ。相手と向かい会って話は出来ないけど、目を閉じればあの三人の声が聞こえるし、私が扉を守ってる限り世界が混乱する事はない。世界を守ってるって思えば寂しくないし辛くない。むしろ誇らしくて嬉しかった」
「……」