教会の中をウロウロとし、結局ヘウ"ンは森に来てしまった。
きっとこの森が好きなんだな、と思った。この森には何か特別な力があるような気がして落ち着く。そしてこの森に来れば。
「バース…」
バースは太い木の幹にもたれ、こちらに気付いて右手を上げた。この森に来れば何となくバースに会えるような気がし、実際に会えて少しヘウ"ンは嬉しかった。
「疲れてないか?」
幹から身体を起こしバースが声をかけてくれる。精神的には疲れてるのだが、ヘウ"ンは口に出さなかった。
「うん。大丈夫」
「疲れたらちゃんと休めよ。じゃなきゃ猫になっちゃうから」
「うん…」
そんなバースの気遣いがヘウ"ンの罪悪感を増幅させる。
「どうしてバースは怒らないの…私とんでもない事したのに」
そんな風に気遣われたらどうしたらいいか分からなくなる。
バースは白銀で覆われた頭を掻き呟いた。
「別に怒る事でもないし」
「何で!バースが五年かけて封印した扉なのに!」