ジュリアさんは両手をブンブン振り回しながら近付いて来て、ヘウ"ンの頭の上に生えている猫耳を触る。
「あー本当に猫耳ついてるー。かーわいいー」
ピコピコと動かしたりして充分楽しんだのか、ジュリアさんは猫耳から手を離した。
「バースに街で会って聞いたんだー。ヘウ"ンちゃんが私好みに変身してるって」
「あの、バースは?」
「ん?どっか行ったよ。ビオラとオペラは扉の調査」
扉の調査と聞いて一気に気持ちが暗くなる。
「私…とんでもない事しちゃった」
暗いヘウ"ンとは違って、相変わらずジュリアさんは明るい声。
「そんなに落ち込む事ないよ。バースが何とかしてくれるって。あいつは一度扉を閉めてるんだから」
ヘウ"ンの頭を撫でながらそう言ってくれるけど、だから落ち込むんだ。
その様子を見たわけじゃないが、バースは必死な思いで命をかけて扉を閉め、五年間たった一人で扉を封印した。
ヘウ"ンはその努力を無断にしてしまったのだ。