バースに聞きたい事があったが、目の前の背中に声をかけるのが怖い。
すると突然バースが立ち止まり振り返らずに口を開いた。
「ああそうだ。お前が人間の姿になれたのは私の力をお前の中に注いだからだ。私の側にいれば人のままでいられるけど、私と長時間離れてたり、体力が低下するとまた猫の姿に戻るからな。気を付けろよ」
抑揚のない声で説明し、「気を付けろよ」と言ってくれたバースは怒っているのか分からなかった。
そんなバースにヘウ"ンは思い切って気になる事を聞いてみた。
「どうしてあの猫が私だって分かったの?」
肩越しに振り返り、やはり抑揚のない声ではっきりと言った。
「これでも神人だ。それぐらいの見分け位つくさ」
そしてバースはまた歩みを再開した。
振り返った顔はやっぱり怒っているのか分からず、ただ綺麗だった。