私はたまらなくなって、大河原さんの手に触れた。


大河原さんの手はとても冷たかった。


私はその手を包み込むように、手を重ねた。


「それから、母さんは働き出して。俺に構ってくれなくなった。だから俺は、“愛”が何なのか分からない。親は教えるどころか、愛を全否定したしね」


大河原さんは、悲しそうに笑った。


「笑わないで」


「美鈴ちゃん?」


「泣いていいんだよ」


「泣くか・・もう涙なんて枯れてしまったよ」