コンコン・・・
「どうぞ。」
奥のオフィスのドアを叩くと、奥から結構年配の女の人のような声が聞こえてきた。
ガチャ、
「失礼いたします。」
部屋に足を踏み入れると
シンプルにアンティークチックにまとめられた部屋の奥に
おしゃれな大きなデスクと真っ黒い椅子があって
そこには、上品な年配の女性が座っていた。
顔は外人のような顔つきをしているけど、日本人の要素も持ち合わせている顔だった。
「私、今日からここに配属された、も「森永 佳枝理。」
「あ、はい、そうです。」
「私はあなたの上司よ?知らないとでも思った?」
「いえ、すみません。」
「まぁ、たった1週間だけど。」
「え?それはどういう・・・」
「年老いた女に、今の若い人のファッションは分からない。あなたもそう思う?」
「えーっと・・・」
「まぁ、あなたに愚痴を言っても仕方ないでしょう。
私もね、今回の異動を持って、ここを去る予定だったのよ。
手芸の雑誌部門に。言ってること分かるかしら?」
「それって・・・」
「老いた私に用意されたのは、2か月に1回しか発行されない雑誌部門の埃被った椅子よ?
もう、用無しってこと。」
「あの・・「それは?」
「あ、これはさっきここに持ってくるように渡されて。」
資料らしきものを渡すと、彼女は静かに目を通しだした。