ガチャ
急にドアが開いた。
ノックもせずにこの部屋に入れるのは、今はエリス部長のみ。
とっさのことで、私と近藤部長は接近して座ったまま振り返る形になってしまった。
でもエリス部長は私たちの不自然な座り位置に顔色一つ変えず、
近藤部長に歩み寄った。
「あら、近藤部長、いらしてたのね。」
「これは、加藤エリザス部長、お話したいことがあってですね。
森永君、お相手ありがとう。
加藤部長とお話したいことがあるので、少しはずしてくれるか?」
「・・・はい、かしこま「その必要はないわ。」
「え?」
「加藤部長、僕はあなたにお話があってですね、大事な話なんですよ。」
「ならその子が居ても構わないはず。
今はその子はこの部のアシスタントよ?
あなたの部下じゃないわ。
その子のことは私に決定権があります。」
「・・・ではこの話はまた今度しましょう。
今日はこれで失礼させていただきます。」
「そう。
あなたが今度ここに来るときは、私じゃない人にご用事なんでしょうけど。」
「・・・失礼します。森永君、しばらくは慣れないと思うが頑張って。」
「・・・はい。」
近藤部長は少し不機嫌な顔をして部屋から出て言った。
やっぱり、出世のために利用されたのかな・・・。
これまでの1年もこのため?
私はエリス部長が椅子に座り仕事を始めても
そこに立ったまま、動くことができなかった。