圭吾の性格はよく知っている。
圭吾は面倒くさがり屋な上、照れ屋だ。そんな人が16にもなって、ましてや男の子が交換ノートをするだろうか。
「だめだろうね。」由季がつぶやいた。「無理無理。電話も一週間に一回あるかないかだし、メールだって一行で済ますし。」
「よく幸はそれで平気だね。私だったら毎日電話するし。」平気とか聞かれても仕方ないって諦めている。それに学校に行けば会えるし、休みの日だってデートもする。
「私は今のままで十分。」
ガラっと教室のドアが開いた。15分も遅れて先生が入ってきた。
席につこうとすると由季が、
「帰り寄りたいとこがあるから付き合ってね。」
と言ってニコッと笑った。もう私が交換ノートを笑ったことに対しては怒ってないようだ。今日はたまたま部活も休みだったので、わかったと返事をした。