「おばあちゃん、久しぶり!」
大きな声であいさつをし、駆け寄ってきたのは孫の咲だ。
「いらっしゃい。よく来たね。」
「おばあちゃん家に来るの、一年振りだね。元気そうで何より。」
そう言って咲は私の隣に座った。
縁側に座って空を眺めていた私に咲は、「おばあちゃんは空を眺めるのが好きだよね?来る度に空見てるような気がする。」
「そうだね。空を見上げると、懐かしい気持ちになるんだよ。」
そう言って、目線を咲に向けると不思議そうな顔をして私の顔を見ている。
「懐かしい気持ち?」
私は少し黙って、空を眺めたまま咲に質問をした。
「咲ちゃんは好きな人はいるのかい?」突然だったので、咲はすごい驚いていた。しかし周りを見渡して、
「いるよ。でも内緒にしててね。」
と、小声で耳打ちした。咲は高校二年生。彼氏はいるが、親に言うのは恥ずかしいようだ。
「そうかい、咲ちゃんには大切な人がいるんだね。大事にするんだよ。」
「うん。でも何でも急にそんなこと聞くの?」
私は咲にちょっと待つように言って、部屋に戻った。そして引き出しから一冊のノートを手に取り、咲の元に戻った。
「何?そのノート?」
「開けて見てごらん。」