「お兄ちゃん、うるさーい」 「俺がうるさいんじゃなくて、セミがうるさいの」 虫かご片手に、妹の手を握る。 かごの中にはセミがミンミン鳴いていた。 「せみ?」 「そう、セミ。ほらここにいるだろ?」 虫かごを妹の目線までもっていく。 目を輝かせて笑う姿に 自然と、つられて頬が緩んだ。