「そうね、感情なんて余計な物、なくていいわ」
…なかったなら、こんなに苦しまないのに。
冴木さんは、唇を噛む。
「あなたはそれでいいかもしれない。だけど、きっとそんなの違う」
彼女が伝えたい事は、多分瑠香さんと同じ。やっぱりあなた達、こんなによく似てる。
「あなたはお人形さんみたい、…何もない、動かされる程の感情すらない」
冴木さんの言葉はストレートで、あたしの心臓を締め付ける。
「そうね…あなたも、体だけの関係は惨めでしょう?その先は何もないですものね」
あたしは緩やかな表情を崩さぬ様、出来るだけ冷たく、何の感情も出さない突き放した声を出す。
嫌な女に見える様に、
嫌な女だと感じながら。