「愛?伝わらなければ意味がないわ」
その言葉が滑稽に感じてまた振り解こうとするけれど、愁哉さんの腕は力強くてあたしを離さない。
「愁哉さん、あなたも、いつまであたしに嘘をつくの?父様も、あなたも。必要なのは誰?」
落ち続ける言葉と同時に感覚が深い闇に沈む。
一瞬、絡み合った視線は強く縛って
愁哉さんの黒い瞳があたしを射抜いた。
そして、そのまま
深く深く
口を塞ぐ。
「…んっ」
絡まる舌の温度が熱い。
やっと、唇を離した愁哉さんは
「今、僕が考えている事分かりますか」
単調な声。
それなのに
見た事もない位
熱い瞳。