線の細い愁哉さんと違って、恭平さんはがっしりしていて筋肉質。抱き締めらたら容易く折られてしまいそう。もっとも、そんな状況有り得ないけれど。


「今も、まだ風景画を?」

以前は人物中心の写真家だった。数々の著名人の写真集を手掛ける売れっ子カメラマン。


「ああ、やっぱり撮りたいものはひとつじゃない」


恭平さんはフッと笑う。覗く瞳は多分、こんな瞳で見つめられたら大概の女性は虜になるんじゃないかと思う位力強い。


「琴音ちゃんだったらいつでも撮るけど♪」

茶化す彼に


「世界的カメラマンの恭平さんに撮って頂けるなんて光栄ですわ」

と返す。


「勿論。俺以上に琴音ちゃんの綺麗な本質、撮れる人間なんていないから」


悪戯な顔で笑う彼はそれでも掴まれる様な目をする。


だから、苦手なの。



綺麗、なんかじゃないと否定したいのに、それを許さない力強い瞳。



「琴ちゃん以外はもう人は撮らない」


彼が口にすると殺人級に甘くて、軽いのに、重い。彼を愛する人は大変だわ、と軽く笑った。