「いつ日本に?」

恭平さんの茶色の瞳があたしを好奇で包む。


「先週でしたかしら」

「チッ、もっと早く知ってたらな」

「恭平さんこそいつ戻られたの?」

「俺は昨日。義姉さんから聞いて飛んできた」

そう言い終えた後、麗子さんを見て、「相変わらず人が悪い」と力強い瞳の色を不機嫌に訴えかけた。


「あんたに言うとろくな事がないわよ」


麗子さんはその視線を受け流して手をヒラヒラさせる。


恭平さんは、麗子さんの旦那様の弟に当たる方。自由奔放で気まぐれ。麗子さんに言わせれば自己中で女好き、だけど。


無造作に伸びているのは長い緩いウェーブのかかった長い髪。それに無精髭。タバコを片手に意志の強そうな瞳を細める。世界中の写真を撮る、彼は一流のカメラマン。