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久しぶりに向かったのは叔母の家。


父の姉の麗子さんは、会社の系列の内の一社を任されていて多忙。だけど幼ない頃からあたしをすごく可愛いがってくれる。


「琴ちゃん、待ってたわよ!もー、いつも可愛いわね」


麗子さんはあたしを抱き締める。ふわりと甘い香りがする、この人の腕の中は温かい。


「恭平には会った?」


恭平、あたしはその名前に息をつく。


「戻ってらっしゃるの?」

「ええ、まあ、放っとけばいいわ。相変わらず、放浪癖があるから」


麗子さんは眉を寄せて膨れてから、すぐに、笑顔になるとあたしを奥に通した。