「…琴音さん?」




その人の登場に空気が揺れた気がした。


「申し訳ありません。すぐ帰るつもりでしたのに」



ロビーで待つ、そうは言っても来客用の部屋へ通されて、あたしは落ち着かず、フカフカのソファにさえ居場所を見つけられないでいた。


愁哉さんは驚いた表情をすぐに戻すと


「本当に、あなたって人は、連絡するのがお嫌ですか?」


眉を寄せてクスクスと笑った。