瑠香さんが突然いなくなったのは三年前の冬。


突然、それはあたしにとってそうだっただけで、身近な人には挨拶は済ませていたし、勿論父様も知っていた。


あたしは学生生活が忙しいと何かと理由をつけて会うのを拒んでいたから知り得なかっただけ。


愁哉さんと、


何があったのかは知らない。


一度だけ、愁哉さんに瑠香さんの行方を尋ねた時、ひどく冷たくなった愁哉さんの表情に、彼女の名前を出すのはもうやめた。


あれは、きっと、


冷たい表情なんかじゃなくて


辛い表情なんだと悟ったから。



だから


ただ、抱き締めた。


そうする事を拒まれても構わない。


「あなたは不器用ですわ」


愁哉さんは、突き放さず冷たい瞳は、少し、揺れた。