左手に光るプラチナリングを眺めて、あたしは両手で空を切る。


「半年振りに会えましたのに」


拗ねる様な口調になった自分が可笑しい。


彼を縛る事なんて出来ないと知りながら、あたしはこの指にぴったりはまるリングの存在に満足している。



愁ちゃん―――芹沢愁哉さん。


父の会社の部下。それもとびきり優秀な。

あたしの大好きな人。


そして


婚約者。