愁哉さんはその指先を冷たい視線で眺めてやんわりと振り解く。


「…外見もそうですが、心も体もあなたよりは綺麗でしょうね」


低い声は淡々と、だけど威圧的に発せられた。



美也子さんは瞬時に顔色を変える。


それでも気丈な態度で「あてられたわねぇ」と引きつった笑いを見せていたけど。


父様が戻ってきて、微妙な空気はまた父中心に変わる。


そして、もう美也子さんと口をきく事もないまま、あたしは席を離れる事になった。