無機質な携帯音が鳴って、すまない、と言って父が携帯を持って席を立つ。

残されたのは隣に座る愁哉さんにあたし、目の前の美也子さん。


父がいなくなった空気に、美也子さんは好奇心の瞳を隠さない。


「本当に琴音ちゃんって綺麗ね」


ああ、嫌だわ。この手のタイプはどれだけ謙遜しても自分よりも劣っている点を探そうとする。そして、今向けられたのは

「愁哉、あなたもそう思うでしょ」


悪戯な瞳が揺らめいて、美也子さんは艶のある声と微笑を愁哉さんに送った。