「夕食は一緒に行きましょう。予約とってありますから」


あたしを家に送って扉を開けるまでエスコートしてから愁哉さんはそう言った。


「お忙しいんでしょう?ご無理はなさらないで」

あたしの小さな声はどんなに張り上げても弱々しい。


「あなたが最優先です」

彼は笑ってから、軽く手を上げて車へ戻った。


後に残ったあたしは頬が染まるのを感じる。



どうしてそんなに簡単に甘い言葉を出せるのか


どうにもならない位歯がゆい。


価値観の違いとその距離が


同時にあたしを苦しめる。