「琴ちゃんは本当に綺麗な髪ね」


瑠香さんはあたしの髪を櫛でときながら優しい声を出す。

誕生日から数日後、忙しい時間を縫ってあたしを訪ねてくれた。


贈り物はピンクサファイアのイヤリング。愁哉さんがくれたものと対になるそれに、胸が疼く。


穴を開けてないあたしに

「こんな綺麗な肌傷つけたら勿体無いでしょ」

瑠香さんは花みたいな笑顔で笑う。


「ねぇ、瑠香さん、次はいつ会えるのかしら」


本当は、瑠香さんに会うのは苦痛だった。


愁哉さんへの行き場のない想い。当然のように彼に愛される瑠香さんに嫉妬していたから。


だから、この質問は、次はいつ会わなきゃならないのかしら、っていう意味を含む自分が嫌いになる。


瑠香さんの事は好きなのに。


もしも、彼という存在がなかったら、単純に瑠香さんを好きでいられた。


醜い感情


醜い嫉妬


痛む胸。