きっと赤く染まったであろう顔を隠すため、

口いっぱいに空気を詰め込んだ。





これは怒ってるから赤いんですよ。





そう見せかけるため。




ぶーッと膨れたまま、
手元の携帯に視線を落とすと、




携帯画面には、


【百瀬譲輝】


の文字。




――――え?



「アドレス、交換するんでしょ?」



画面を見て固まるあたしに、
なぜか楽しそうな譲輝くんの声。



そっと視線を譲輝くんに移すと、
さっきの笑顔とは違い、





とろけるような、
甘い笑顔を零していた。



「暇んときにでも、
アンタのアドレス送れよ?」



ぐしゃぐしゃあたしの髪をなで、
自転車を漕ぎ出す譲輝くん。




あー、やばいな。