すぐ隣にある大きな背中に、
一瞬ためらって頭をつけてみる。




ピクッと小さく反応したけど、





「次、どっち?」



「・・・・・・右」





何もなかったかのように、
譲輝くんは前を向いて自転車をこぎ続けている。





頬に伝わる譲輝くんの体温が心地よくて、
あたしの胸はトクトク小さく脈打つ。





前から来る風は、
譲輝くんで閉ざされてるはずなのに



眼が乾いたのかな?






眼には、たくさんの涙が溜まってた。






静かに目を閉じると、
1筋の涙が頬を伝う。




さっきあたしの頬と叩いてた風は、







今度は優しくあたしの頬を撫でていた。